観光地としても有名な九段坂
九段坂は、九段下交差点から靖国神社の南側に上る坂です。
この坂は、日本武道館の目の前にあるため、武道館でコンサートやライブがあるときには通ることがあるでしょう。
名前が着けられたのは江戸時代。周辺の高台に役人のための武家屋敷が建てられ、九弾の石垣を造ったことから「九段坂」と呼ばれるようになりました。
九段坂上からは、江戸湾はもとより、房総の山々も見渡せたそうです。
一帯は観光の名所で、明治時代に発行された「新撰東京名所図会」では、旧暦の七月二十六日「ここに月の昇るを待つもの多し」と紹介しています。
大勢でお酒を飲みながら月を見る「二十六夜待ち」は江戸時代盛んに行われたイベントです。
九段坂は、かつては牛が疲れて落ちてしまうほど急な傾斜でしたが、現在はコンクリートで舗装され、周辺の景色も楽しむことができます。
九段坂周辺の施設
九段坂周辺には観光スポットとしても有名な施設が数多く存在します。
日本武道館
九段坂を登ると日本武道館があります。反りかえった富士山をイメージした屋根と玉ねぎにも見える擬宝珠が特徴です。
1964年東京オリンピックの柔道競技会場として建設され、現在もスポーツ競技や音楽ライブ、コンサート、企業の式典などが開催される日本を代表する競技場です。
靖国神社
日本武道館と同じく九段坂の上にある靖国神社は、神社の中でも比較的新しくできた神社です。幕末に建てられた東京招魂社が前身で、1879年靖国神社に改名しました。
戦死した軍人らを祀る神社として有名です。境内には約500本の桜が咲く名所で、桜の開花宣言をするための標本木があります。
靖国神社の正面にある高燈籠は常夜灯として1871年に建設されたものです。当時九段坂の上からは、筑波山や房州の山々まで見渡すことができ、品川沖を行きかう船にとってよい目印となったそうです。
当時は靖国通りを挟んで反対側に建てられていましたが、道路の改修に伴って1930年に現在地へ移転しました。
九段会館テラス
九段坂を下れば九段会館があります。洋館に瓦屋根がのった「帝冠様式」の代表建築です。
1934年に完成し、当時は軍人会館と言われていました。戦後は結婚式会場などに使われます。
東日本大震災で被災してしまいますが、建物を部分保存しながら高層ビルとなり九段会館テラスとして2022年10月にオープンしました。
九段坂周辺は現代でも東京でも有数の花見や月見のスポットなので、四季折々の景色が楽しめますよ。